コラム

会社の設立登記と役員変更登記

 会社を作る(会社の設立)

 世の中にはさまざまな経済活動がありますが、ビジネスを営むことも経済活動の一つです。そのビジネスを営むために新しく事業を始めたり、個人事業主として営んできた事業を法人を作って法人として引き続き営んでいく(法人化する)ときに会社を作ること(会社の設立)を考えることになります。

 司法書士は、設立から事業承継まで、長い年月お手伝いすることができます。法人(会社)の登記は、法務局のホームページにもひな形があり、一見簡単そうに見えるかもしれませんが、会社法等の法令に則って考えなけれならないこともあり、奥の深い手続きです。その中でも必ず手続きが必要となる会社の設立登記と役員変更登記についてご紹介します。

会社を作る(法人化する)メリットとデメリット

 わたしたち司法書士のもとへ「会社の登記」でご相談をされる方にお話しするメリット・デメリットをご紹介します。

メリット会社を作るメリットしては、主に3つ挙げられます。
  • 社会的信用度が高くなる

     会社は、法務局で会社の登記がされることにより、事業内容や資本金が公示され、登記事項証明書を取得することによって誰でもその会社の概要を知ることができます。そのため、一般的に信用を得られやすい傾向があります。

  • 事業を存続させやすい

     万が一、経営者(主に社長)が亡くなっても、会社そのものはなくならないので、事業自体はそのまま続けることができます。

  • 決算月を任意に決められる

     個人事業主の場合、事業年度は1月1日から12月31日と決まっているので、決算月も12月になりますが、会社は、事業年度を自由に決められるので、業種に見合った時期や会社に都合の良い時期を事業年度として選択することができます。

デメリット会社を作るデメリットとしては、主に4つ挙げられます。
  • 登記費用がかかる(設立時、役員変更などの登記事項変更時)

     会社を作る場合、会社の登記をする必要がありますので、法務局に税金(登録免許税)を納めなくてはなりません。例えば、株式会社の設立登記の場合、最低15万円かかります。また、司法書士に依頼する場合は、司法書士報酬がかかりますが、司法書士に登記手続きを任せることによって、時間を事業のために使うことができるメリットもあります。

  • 赤字でも税金がかかる

     会社は、赤字になったとしても、税金を納める必要があります。

  • 社会保険に加入しなければならない

     会社は、従業員が1人でも社会保険に加入する必要があります。しかし、社会保険に加入できることで従業員の会社に対する信用度も増す可能性もあります。

  • 事務の負担が増える

     会社の確定申告は、個人事業主より複雑なので、それに伴う会計処理も複雑になります。また、前記の社会保険関係の事務手続きもありますので、個人事業主より事務手続きの負担が多くなります。

 このようなメリット、デメリットを理解したうえで、会社を設立して事業を営んでいくか考えてみてはいかがでしょうか?

どんな会社にする? ~会社ができるまで~

 会社を作る際には、まずどんな会社にしたいのかを決める必要があり、決める内容がたくさんあります。その中でも主なものをご紹介します。

法人の種類

 まずは法人の種類を決める必要があります。法人の種類には、株式会社、合同会社等さまざまな種類があります。

商号(法人の名称)

 いわゆる法人の名前です。法人はその種類に応じてその種類を表記します。例えば、株式会社の場合、「○○〇株式会社」や「株式会社△△△」のように必ず「株式会社」を表記します。

事業目的(事業内容)

 事業と言っても、農業や飲食業等、さまざまなものが存在します。その中でどのような事業を始めるのか、将来展開したい事業はあるか、始めたい事業に許認可が必要かどうか等を検討します。
 その他、資本金の額や役員(詳細は後記参照)、役員の任期や事業年度等決めなければならないことがたくさんあります。
 どんな会社にするのか決まった後、会社を作るための設立の登記手続きをします。株式会社の設立登記手続きの一例を下記にご紹介します。
 司法書士は、定款の作成から登記申請までトータルに設立登記のお手伝いをします。

参考)成年後見制度利用の流れ
株式会社設立登記の流れ(一例)

2 会社の役員を変更する(役員の変更)

 つぎに、会社(株式会社)を設立してから、早くて1年後、遅くても10年後、必ずしなくてはならない登記が役員の変更登記です。ここでは株式会社の役員の変更登記についてご紹介します。
 会社法上で役員とは「取締役、会計参与、監査役」を指します。特に会社の運営に携わる取締役は、株式会社において必ず必要な役員となります。役員は必ず任期があり、同じ人が引き続き役員になったとしても役員変更の登記をする必要があるので、役員変更の登記は会社で事業を始めたら必ずしなければならない登記手続きとなります。
 経営者の方はとても忙しいので、これらの登記手続きは司法書士にお任せして、経営に専念されることも多いようです。

役員の変更登記が必要なときってどんなとき?

 例えば、役員が辞めたりして役員でなくなった場合や役員が新しく加わったりして増えた場合はもちろん、任期が終わって同じ人が役員になった場合も登記が必要です。

役員の変更登記をしないとどうなるの?

 任期が終わって、役員変更の登記をしなければならなかったにもかかわらず登記することを忘れてしまった場合、登記をする義務を怠った(登記懈怠(けたい))として100円以下の過料を科される可能性があります。また、一定期間(株式会社の場合は12年)登記がされていない場合、実体のない会社とみなされて法務局が職権で解散の登記をします。解散の登記がされた場合、その会社で事業を営むことができなくなるので、引き続き事業を行っていきたいときは会社を継続するための手続き等本来しなくてもいい手続きをしなくてはならなくなります。

3 まとめ

 会社を運営していくときには、登記手続き以外にも売上げ、雇用、事業拡大等さまざまなことを検討する必要があります。また、会社を運営していく際に登記手続きが必要な場面は必ずありますが、売り上げに直結するものではないため軽視されがちです。しかし、登記は設立や役員変更だけではなく、登記事項証明書の内容(本店所在地等)に変更が生じた場合にも必ず手続きをしなければなりません。そして、登記をしないとさまざまな問題が生じる可能性があります。法人の登記手続きについて、もっと具体的に聞いてみたい方は、お気軽に下記の富山県司法書士会総合相談センター(無料相談)までご相談ください。

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